今までリーダーシップというのは当たり前のように使っていましたが「サーバントリーダーシップ」ということばを、今日初めて知りました。
サーバントリーダーシップとは、ロバート・グリーンリーフ(1904~1990)が1970年に提唱した「リーダーである人は、先ず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」というリーダーシップ哲学です。
よって、周囲からの信頼を得て、主体的に協力してもらえる状況を作りだすものです。
今までのリーダーシップは、上に立つリーダーである人の指示によって部下や仲間が動いていましたが、サーバントリーダーシップはその逆で、リーダーが下から部下や仲間を支えるイメージです。
小学校のある先生の行動です。算数の図形の授業で教科書の付録の図形を切り抜いて、机の上には紙屑が散らばっていました。普通の先生なら「切り抜き終わった人から捨てに行きましょう」と言う所を、その先生は子どもたちの机の間を「ゴミ、もらうよー」と言ってゴミ箱をもって歩いたそうです。
それは、ゴミを捨てに行くほんの数秒の思考の中断よりも、目の前の課題に完全に没頭させたかったからです。
そのささやかな「奉仕」の積み重ねが、子どもたちの心の中に「自分は、この先生に大切にされている」という、揺るぎない信頼を築き上げていくのです。
思い当たるのが、私が事務職として努めていた大学は3年・4年は年齢的にタバコを吸っても法律的には良かったので、一部の学生ですが、お昼休みなどは中庭で友達同士話をしながら吸っていました。そして灰皿に入れに行かずにポイ捨てです。時には学校周辺の道路にも、ウチの学生か一般の方のかわからないけれど、たばこの吸い殻が落ちていました。それで、ウチの課の職員数人がお昼休みに交代で中庭と学校周辺道路の吸い殻を拾いに回っていました。
最初はやんちゃな学生はわざと目の前で捨てたりしていましたが、私は何も言わずに拾っていました。
すると、暫くすると挨拶をして私のごみ袋に捨てに来るようになりました。それからまた暫くすると、私が見落とした茂みの中の吸い殻を教えてくれるようになりました。1年もすると、中庭にも道路にもほとんどポイ捨てが無くなったので、見回りは止めました。
3年生になったやんちゃ君たちは「就職活動もあるので、たばこを辞めます」と私に宣言をしに来ました。それからは就職活動の相談になって行きました。
私は「ポイ捨ては辞めなさい!」と言っても、聞き流すだけで直らないだろうと思い、何も言いませんでした。しかし、上記先生の行動を見て、成程なと思った次第です。
これは企業でも同じだと思います。
リーダーに従うメンバーだと、時には義務感で行動をしています。しかし、リーダーがまず部下に奉仕したり一緒にやっていると、部下は自分もやりたい気持ちで行動します。それは、言われてから行動するのと、言われる前に行動するのとの違いです。そしてまた、言われた通りにしようとするのと、工夫できるところは工夫しようとする違いです。
支配的リーダーに従うメンバーだと、リーダーの機嫌を伺って役割や指示内容だけに集中する傾向がありますが、サーバントリーダーに従うメンバーだと、やるべきことに集中し、リーダーの示すビジョンを意識して、リーダーと一緒に活動している感覚を持ちます。そしてその結果、リーダーを信頼するのです。
リーダーが社会に役にたとうとする姿勢ならば、部下も同じくその姿勢を身に付けやすいのです。
シャンパンタワーのように上から水を流していくのか、噴水のように下から部下を持ち上げていくのか、リーダーにも色々あるようです。
じゃ、また明日!