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テレビを見ていたら、特定非営利活動法人「抱樸」(ほうぼく)理事長の
奥田知志氏がお話されていました。
「抱樸」とは、山から切り出された原木・荒木(樸)をそのまま抱き留める事を意味し、
「自己責任」など、「断る理由」が横行する日本社会に対する「対抗文化」を意味しているとか。
奥田氏が目指すのは「抱樸する社会」「断る理由を断念した社会」です。
この会は「ひとりにしない」という支援で、
「ホームレス(社会的孤立)」と「ハウスレス(経済的困窮)」の問題を分けて考えています。
ハウスレスの人には「この人には何が必要か?」を考え、
ホームレスの人には「この人には誰が必要か?」を考えているようです。
いざという時に頼れる人が誰も思い浮かばなかったら、
あなたも「家のあるホームレス」かも知れません。
というのは、心に残りました。
奥田氏の言葉で一番印象に残った言葉がありました。
あるお酒飲みの路上生活者Aさんが問題を起こし、奥田氏が引き受けることにしました。
その時「Aさんがお酒を飲まなかったら、引き受けてくれるんですね?」と聞かれました。
奥田氏は「それは違います。」
「引き受けるからAさんには、お酒を飲まないでね!と言うだけです」
この違いは、条件を付けて引き受けるか、条件を付けずにそのま引き受けるか、の違いです。
一般的に我々は相手を正していこうと思えば、条件を付けがちです。
子供の勉強にしても何点取ったら、○○を買ってあげる、とか。
しかし、奥田氏は条件を付けるのはおかしいと思われたのです。
山から切り出された原木は、そのまま抱えるとささくれ立って痛いです。
しかし、痛くても抱きかかえないと運べません。
だから「抱樸」なのです。
Aさんがお酒を飲まなかったら、引き受けるのではなく、
まだ飲む可能性があっても、先ず引き受ける。
引き受けるから、Aさんには「飲まないでね!」と伝えるだけ。
後は、本人次第。
奥田氏は意地悪に、どこかに行けば必ずAさんにお酒のお土産を持って行きました。
しかし、Aさんは、1年間全くお酒をのむことはありませんでした。
その後、飲んだとしてもお酒に飲まれることはなかったそうです。
この違いは非常に大きいと思います。
イソップ物語の「北風と太陽」です。
強制的にやらせるのか、自主的にやらせるのか。
同じ結果でも、その後の未来が変わってくると思います。
じゃ、また明日!