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人は落ち込んだり沈んだりした時、他の人から見れば弱くなったと言われる時があります。
しかし、それは目に映った印象だけの事であり、本心の部分は解りません。
苦境に立たされた時や、自信を失った時などにその人の本当の強さが現れると
思います。
ウチの父も強い人でした。
頑固で自分を曲げない人で、その頃世間では癌の告知をするかどうかの問題が
取りざたされていました。
そのニュースを見ていた時、「自分だったら隠さず言って欲しいわ」と言っていた
その父が検査入院で癌とわかりました。
私は、父の言っていた言葉を信じていたので、正直に告げるつもりでした。
しかし、父の方から「オレ、癌と違うよな!」と言って狼狽えていました。
その姿を見て、私は癌の告知を止めました。
父には胃が弱いようだと。
実際は大腸がんで医師は私に、あと1年ほどと説明してくれました。
が、私は検査で一部取った真っ黒な癌細胞を見て、3カ月だと思いました。
偶然にもがん患者の本やホスピスの本を読んでいたので、直感が働いたのです。
医師は放射線治療の大病院への転院も言ってくれましたが、私はムダだと思い、
母がその病院で透析を受けていたので、お互い顔を見られるように転院を断りました。
間もなく個室に移り自宅が直ぐ近くだったので、食事とお風呂は家に帰り、
私は病院に寝泊まりしてそこから職場に通いました。
最初、なかなかよくならない病状に父は「先生、手術は成功したと言ってたけど、
良くならなくてごめんね」と言っていました。
しかし、痛みが増してくると察知したのか、何も言わずに耐えていました。
医師が「お父さんはものすごく強い人ですね」と言われたように、
「痛い」「苦しい」という言葉は一度も言いませんでした。
私は父は自分が癌であることを悟ったなと感じましたが、何も言わなかったので
私も告知をしませんでした。
しかし、無言の中で癌の末期をとにかく本人が楽なようにと医師にお願いしていました。
亡くなる1週間ほど前に食べるのも苦しくなってきたのか「もう、何も食べない」と
言ったので、私も「無理に食べなくていいよ」と、好きだったピスタチオだけを
剥いて食べさせていました。
検査入院からちょうど3カ月。
私の予想通りに3カ月で逝きました。
告知は最後までしなかったものの、自分で悟り、自分で受け入れ、死の覚悟を決めて
過ごした父の姿は、「癌になっても苦しくないよ!」という勇気を残してくれました。
検査入院の日はこんな人だったのかと思いましたが、
結局は人生で自分が一番弱い立場にある時、やはり父は強かったのです。
病気でなくても、強かった人が弱さを得た時、自分をわかってくれる存在、
自分を支えてくれる存在に気付き、感謝して、人生の本当の意味を見つけるようです。
昨今、自殺も増えています。
自分の気持ちが弱くなった時、誰か自分をわかってくれて、誰かの力を借りて、
自分の弱さを認め受け入れられたら、選択は違ったものになる可能性があると思います。
自分の気持ちをわかってくれる誰かの存在、自分を支えてくれるもの。
それらによって、苦しみと向き合い、前を向いて生きる力を得ることで、
弱さから生まれる本当の強さが出てくるのだと思います。
じゃ、また明日!


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jibunoikiru@gmail.com

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