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登山には2つの選択肢があり、ソロ(単独)で登るか、複数人で登るか、です。
アルパインクライマーが2人で登る時は、パートナーが命綱になります。
先輩後輩であったとしても自然の中では対等な関係になり、
「命を預け合っている」2人は、山の先に同じ夢を見ていると言います。
命を預け合うドライな関係と、視線の先には「同じ夢」。
これはアルパインクライマーだけではなく、
どのような形のパートナーにも通じることだと思います。
自分が背負っているのは自分の命だけではなく、相手の命までをも背負っているのです。
アルパインクライミングは、登山道のない自然の地形にルートを取り、
最小の人数と装備によって、短時間で頂上を目指す最もハードなスタイルです。
そこではパートナーの在り方がお互いの生死を左右する事になります。
1日24時間、それが何カ月も続く時もあります。
よって、極限の状況に追い込まれるので、相手に自分を隠すことは出来なくなります。
自分の弱い所や見せたくない所も含めてすべてをさらけ出さなければならないので、
人間的に認めあえるかどうかが死活問題となります。
相手と同じ夢を見、命を預ける関係になれば命を預けられることもできるし、
覚悟を決めているからこそ、何が起きても後悔することはない、と言う。
また、欠点が2人を繋ぐことにもなり、
自分にないものを持っている相手へのあこがれや嫉妬心があるからこそ、
一緒にいられるのかも知れません。
アルパインクライミングは、整備された登山道を行くのではなく、
自分たちで自由に登山ルートを設定できる「概念図」と呼ばれる山の地図を作製し、
地形の特徴や尾根や沢の位置を書き込みながら、どこでテントを張れるのか、
どこで雪崩の可能性があるのか等、安全なキャンプ地を探っていく。
目印のない中で「あそこのあそこ」といった時に2人が同じ場所をイメージ出来るように
ピンポイントでそれを共有しなければなりません。
なぜなら、2人の間で少しでも認識に誤差があると大事故に繋がるし、
認識にずれが生じると、生死にかかわるからです。
お互いの命をかけるという事はそういうことになるようです。
命を預け合っている世界では常にお互いは平等だし、
それを支えるのは「信頼関係」しかないようです。
登山=仕事ではなく、「やりたいからやっている」
この気持ちがあるからこそ厳しくても頑張れるし、
信頼関係で結ばれているのだと思います。
2人で「概念図」を書き、お互い命を預け合う。
一生に一度で良いからこういう信頼関係が結べたら、
自分の人生は充実していたと思うことが出来ると思います。
じゃ、また明日!