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7月19日付日本経済新聞の記事に目が留まりました。
現在27歳の女性ですが、小学校5年生の時に母親が統合失調症にかかり、
幻覚の影響で身内に暴力を振るうようになりました。
父親の酒量も日に日に増え、父による家庭内暴力も目立っていきました。
本人も、中学に入った頃、長期にわたる虐待などを背景にした
「複雑性心的外傷後ストレス障害(PTSD)」を発症。
「いい大学に入れば現状から抜け出せる」と、二浪して慶応大へ入学。
しかし、大学3年の時に難病の「重症筋無力症」と診断され、休学。
翌年、大学に復帰するも、就職活動をする余裕はなく、卒業後、
障害者雇用枠などで就職活動を始めたものの、夢を実現できそうな求人は皆無だった。
「いつの間にか社会のレールから外れてしまった」と、さらに落ち込み、
自殺未遂に迄追い込まれた。
彼女は幼少期の自分が虐待被害児だとは考えもしなかったし、
様々な福祉的支援策の存在も、誰も教えてはくれなかった。
大学1年の時に全日本学生弁論大会に出場し「統合失調症患者を取り巻く現状や政策提案」を
スピーチした。
その過程で、知らなかった福祉の制度や支援策が山のようにあることに気付いた。
母親の障害年金すら申請していなかったので、こうした情報を必要な時に活用できていたら、
「家族がこれほど苦しまずに済んだのに」と、今も大きな後悔を抱えている。
「変わるべきは社会なのに、なぜ諦めて自分が死ぬのか」
自殺願望はなかなか消えなかったけれど、やはり前を向かなければと、少しづつ思い直した。
そんな時、申請がない限り行政サービスが提供されない実態を指す「申請主義」を考え直すイベントを知り、
「自分にできることはないか」と、採用を経営トップに直談判し、数回の面接を経て同社に職を得た。
現在は、自宅の介護ベットの上で仕事をし、質問に回答すると利用可能な福祉的支援を表示するサービスの開発などを担っています。
彼女が偉いなと思うのは、変わるべきは社会なのに、なぜ諦めて自分が死ぬのかと思った時、
「それは負けのような気がして」前を向かなければと思ったことです。
そこから「自分に出来ることはないか」と、会社に直談判したことです。
これは色々な事を経験した彼女だからできたことです。
「誰も取り残されない社会にしたい」という想いは、彼女の心底からの叫びだと思います。
私の母が長期入院をした時は、介護保険が出来たばかりの時でした。
私もできたことは新聞で知っていましたが、どのように手続きをすればいいのかわかりませんでした。
母が入院していた病院は患者様の為にと、ドクターも看護師さんも非常に勉強をされており、
書類も用意して下さり、ケアマネージャーの手配も全てしてくれました。
私が仕事をしていたせいもあるかも知れませんが、
もしも他の病院だったらそこまでしてくれたかどうか。
申請がない限り、行政サービスが提供されないというのは逆であって、
福祉の制度や支援策が出来たなら、誰も取り残されないように、
制度の方から歩み寄るシステムになるべきだと思います。
今回のコロナ禍でのお店に対しての助成金にしても、申請しないと貰えません。
しかも、複雑な申請用紙を何枚も何枚も用意しなければなりません。
結局その複雑さから、途中で諦めている人が出て来ています。
特に年配の方はややこしくて諦めています。
制度というのは利用されるから制度なのです。
そこで取り残されたり、諦めたりされるような制度は誰の為の制度なのかと思います。
これからは行政の在り方を根本的に変える必要があると思います。
もしかしたらAIの方が誰も取り残さない社会を作ってくれるかも知れません。
じゃ、また明日!


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jibunoikiru@gmail.com

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