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私が知っていたのは「損して『得』取れ」の方でした。
一時は損をしても、その損によって将来大きな利益を得る方がよい。(スーパー大辞林)のことで、特に商売で使われる言葉だと思っていました。
しかし、昔は「損をしてでも一生懸命行えば人々が認めてくれて、良い仕事が回ってくる」という意味だったそうです。
『得』は、直接的に相手との交渉で、損得勘定が成り立つのに対し、
『徳』は、間接的に他者評価の上で、自分に返ってくるイメージです。
そもそも『徳』というのは、儒教の教えで、高校の教科書で「仁・義・礼・知・信」というのが出てきたのだけは覚えています。
仁:人を思いやるに素直であれ
義:正義を貫くに素直であれ
礼:礼を尽くすに素直であれ
知:知を磨くに素直であれ
信:人を信じるに素直であれ
そうであるならば、私はやはり『徳』の方の解釈をしたいと思います。
なぜならば、直接的な損得勘定では、その相手とでしか損得勘定が成立しません。
しかし、『徳』となれば自分の行なっている行動が他者に認められ、それ故に自分に返ってくるからです。
自分の姿勢として、自分に返ってくることを想定しての『得』ではなく、
相手に尽くすための『徳』の方が、後々の繋がりにも生きてきます。
今、コロナウイルスが広がりつつありますが、武漢からの帰国者を受け入れた「ホテル三日月」は、
損して『徳』を取った方だと思います。
第一便のチャーター機が武漢に飛び立った時、政府は帰国後の検査で症状のない人は帰宅させる方針でした。
しかし、自民党内から感染拡大防止の声が強まったため、急遽、滞在場所を確保する必要に迫られ「ホテル三日月」に懇願したようです。
「ホテル三日月」は、昨年の台風15号で被災した地元住民に大浴場を無料開放したり、炊き出しをしていました。
「ホテル三日月」は今後の営業に影響が出る可能性も否定できない中で、
「当社は、同じ日本人として、帰国者のために、政府の要請にこたえることを決断しました。当社は、本件の受け入れのみならず、これからも地域、日本の繁栄のために邁進していく所存です」と、公式サイトで声明を発表しました。
「ホテル三日月グループ」を率いるのは、30代の小髙芳宗社長です。
一方、ホテル従業員やその子供に対し「心無い言葉」が浴びせられたこともあったようです。
しかし、私もTVニュースで見ましたが、最後は地元住民がホテルの前で太鼓を披露したり、大きな紙に「頑張ってください」と書いて持ち掲げ、滞在者を励ましていました。
この「ホテル三日月」の行動こそ「損して『徳』とれ」だと思います。
私が愛読しているblog投稿者の方々も「コロナウイルスが落ち着いたら『ホテル三日月』に泊まりに行きたい」と書いてありました。
帰国者を受け入れた結果、英断を人々に認められ「泊りに行きたい」と返ってきたのです。
私も人とのお付き合いにおいて「徳」が取れるよう、土台作り(仁)に励みたいと思います。
じゃ、また明日!