今回のNHK「新プロジェクトX」は、世界遺産である「姫路城 平成の大修理」でした。全国各地のお城の修理にあたっている大工さんの中から選ばれた会社が姫路城の修理をすることになりました。以前のこの番組でもお寺の大修理を扱ったものがありましたが、歴史ある建物の修理となると、失敗は絶対に許されないので、任された方は緊張の連続のようです。
お城の場合は建物の骨組みだけではなく、特に姫路城は白い漆喰が特徴だったので、屋根の瓦の葺き替えと同時にその間にある黒くなった漆喰のやり直しでした。ところが屋根に上がってみると、自分の知らない技法の漆喰の塗り方。でも、修復しなければならないのです。
恥を忍んで地元のライバル会社に会社を通して「技法を教えて頂けませんか」とお願いするも断られました。しかし、国宝の大修理なので絶対にやらなければならない。そこでリーダーは個人で直談判に行きその技法が出来る職人さんにお願いして教えて貰うことになりました。
15歳下のその職人さんに頭を下げて一から学ばせてもらう。その姿勢にライバル会社の職人さんもこの人なら大丈夫と、すべてを伝えてあの白い白鷺城と言われる姫路城の大修理を終えることが出来たのです。
任されたリーダーも教える職人さんも最初は姫路城の修理に関わるのが嫌だったと言われています。なぜなら、国宝なので失敗は出来ないし、どうしてもやり遂げなければならないので荷が重すぎる。でも、お城のためにはやらなければならない。
この葛藤はいつもの仕事ではなく、歴史を背負っている仕事、国宝を背負っている仕事だから、何としてでもやり抜くという「姫路城のために」という目的のために、みんなの心が1つになれたのだと思います。それが無ければ短期間で特殊な漆喰の塗り方をマスターできないし、技術だけでも出来なかったと思います。
普通ならライバル会社に自社の秘密技術は教えたくないのは当たり前です。しかし「お城のために」「国宝のために」「世界遺産のために」という大きな目的があったから、垣根をこえて技術提供が出来たのだと思います。たとえライバルであったとしても、目的が同じであれば同じ方向を向くことによって、ライバルがライバルではなく同志になって行く。そこでの力は計り知れないほど何乗にも掛け合わされたものになって行くのだと思います。
目的の為なら共にやって行けるというこの可能性は、あらゆるところにもあると思います。異常気象が当たり前になってきている昨今、「地球のためなら」もっともっと私たちはやれること、やらなければならないことが差し迫ってきているように思います。
まずは身近な人と、同じ目的の為なら共にやれることはやって行きたいと思います。
じゃ、また明日!