企業でもお店でも、顧客の期待値を超え続けるというのは、かなりの努力がいると思います。期待値を超えるというのは「行ってよかった!」「食べておいしかった!」「受けてよかった」になると思います。しかし、それだと「思ったより良かったね!」で終わる場合があります。
期待値を超え続けるとなると「また行きたいね!」「もう一度食べてみたいね!」「また受けたいね!」となって、リピターの可能性が出てくるのです。そうなると、期待値は最初より少し上がっているはずです。2回目が1回目と同じであれば、3回目の期待値は薄いと思います。そこを3回目4回目と繋いでいく所に、腕を磨く必要が出てくるのです。
私がかれこれ16年以上、月に1度通っているレストランは、ひょんなことから毎回シェフの創作料理を出してくださいます。初代シェフの味が好きでお願いしたのですが今は4人目のシェフです。シェフが変わるたびに味の違いを感じます。毎回、最後に感想を聞きに来てくださるので、正直に伝えます。各シェフは初代シェフの残したレシピと写真を見ながら勉強をされます。
不思議なもので2年経つと、どのシェフも初代シェフと同じ味になってくるのです。最初はあれほど違っていたのに、こちらの感想をもとに試行錯誤を重ね、同じ味になってくるのです。そして、それプラス各シェフの得意分野がプラスされ、彩で季節を表現するシェフは前菜の色で季節を感じさせてくれます。また、盛り付けの得意なシェフは、盛り付けによって四季折々を感じさせてくれます。よって、マネージャーやホールスタッフの方は今回はどのような料理になっているのか興味深々で、皆さんそれとなくチェックして通られていきます。
このようにそこのレストランは、各シェフたちのレシピノートと写真が溜まって行っていると思います。よって、16年毎月通っていても同じものが出たことはなく、同じ素材を使っていても、どこかそれぞれのシェフの特徴があるのです。それが楽しみでいつも翌月の予約を取ることになるのです。
それともう1つ楽しみなのは「その人の価値」です。同じ素材で同じような料理を作ってもその人の特徴や性格が出るように、同じものを売る営業や、同じような講演をする講師でも、やはりその人価値が出てきます。よって、この人の料理をもう一度食べたいとか、この人からもう一度買いたいとか、この人の講演をもう一度聞きたいとかになってくるのです。
そこには前回を上回る期待値が潜んでいるから「もう一度」ということになるのです。なぜなら、初回でのコミュニケーションで少しはこちらのことが分かってくださっていると思うから、「もう一度」の中には、その上に立った何かを望んでしまうのです。そしてまた、その期待値を上まわるから、虜になってしまうのです。
本でも映画でも、あの作家さんの新しい本だから買いたい、あの監督の新しい映画だから見に行きたい。あの人の講演だから聞きに行きたい。というようになるのだと思います。結局はその人に対する信頼度やリスペクトだと思います。あの人が作るから食べてみたい。あの人が主催するから行ってみたい。あの人が講演するから聞きに行きたい。など、顧客のニーズや心の満足を満たすから「もう一度」になるのです。
その期待値や満足を維持するから、ビジネスを継続していくことができるのだと思います。どこのトップも期待値を超え続けるために勉強をしておられます。その結果、顧客の満足を得た時は自分自身が「もっと、もっと」と、努力し続ける勇気を与えてもらっているのだと思います。それが顧客との駆け引きであり、ビジネスの面白いところなのかもしれません。
結局は何事も「人」なのだと思います。その人の「あり方」がその人の「やり方」に繫がり、それが人との繋がりになってビジネスになるのだと思います。
じゃ、また明日!