客商売をしていると、一番に考えるのが「どうすればお客様が来てくれるのだろうか」と云うことだと思います。以前、数か月で閉店した焼きそば屋さんのことを書いた覚えがありますが、商店街にちょうど入れ替わるように今度は「明石焼き」のお店がオープンしました。オープン初日から、あの焼きそば屋さんとやり方が似ているなと思っていたのですが、店主のお顔を見たことがないので、一概には言えません。
なぜそう思うのかといえば、オープンの数日前から「〇月○日オープン」と店の前に書いてありました。お祝いの花も飾ってありました。ドアを開けてお店の中もテーブルやイスを並べて見えるようにしてありました。しかし、誰もいないのです。店の奥には誰かいるとは思うのですが、人の気配のない状態でした。準備が忙しくてお店の人は奥に引きこもったままなのだろうと思っていました。
オープン当日、ふつうは身内や知り合いが来てもよいはずです。しかし、誰もいない。次の日もお店の人もお客様もいない。まだオープンしてなかったのかと思ったけれど、オープン日より2日も過ぎている。それからしばしばそのお店の前を通るけれど、一度もお店の中に人がいるのを見たことがありません。
私も、一度は値段、味を知りたいので入ろうと思っていたのですが、細長いお店で奥まで行ってカーテンを開けて「注文してもよいですか?」とは聞く気にもなりませんでした。あの焼きそば屋さんと同じパターンです。申し訳ないけれど、このお店も2~3か月で閉める可能性があるなと思いました。3週間たっても一度も人を見たことがないのです。お店の前で簡単なチラシを配ってもよいはずです。お客様は何時から何時までの営業で、定休日は何曜日で、お値段はいくらで、明石焼きなのでお持ち帰りできるのかどうか。お持ち帰りできても「だし」はつけてくれるのかどうか。聞きたいことが山盛りです。
そういうお客様が入りたいと思う情報が一切書いていないのです。もしかしたらオープン前に新聞の折り込みでチラシを入れていたのかもしれません。しかし、お店の前を通る人に手書きでもよいので明石焼きの情報を宣伝する必要があるのではないかと思いました。なんだか「食べたければ入ってきて、店の奥に声をかければ?」と、言われているような気がしました。ごく最近、近くのたこ焼き屋さんが閉店したので、お客様は食べたいと思っている人もいると思います。
その可能性があるにも関わらず、閑古鳥どころかお店の人もお客様も一度も見たことがないのです。売れるしくみの反対を行っているような気がしました。場所的には商店街のど真ん中で人通りも多いところです。人が入っていないのお店は初めて見ました。その隣の隣のインド料理店では、インドの方がチラシを配りながらにこやかに挨拶をしてくれます。お持ち帰りができるようにお店の前にテーブルを置きお持ち帰りの見本のように何種類かを並べています。この明石焼き屋さんの数か月後を見てみたいです。
東京ディズニーランドなどは、売れ続けるしくみを考えていると思います。値段が上がっても、やはりお金を貯めてでも行っています。そこには日常を離れて夢の世界に入る、習慣化されたような仕組み作りがなされていると思います。一時的なブームやネットでバズるような一度限りのものではなく、繰り返し行きたくなる「売れ続ける仕組み」が隠されていると思います。
一人でやっている小さなお店も同じだと思います。いかにリピーターを多く作るかが大切だと思います。小さなお店だからこそ、お客様とのコミュニケーションがとりやすく、メールでの案内やその他やり取りがすぐにできるのです。そして何かイベントなどを企画した場合、早くからお客様に連絡するからその反応・手ごたえもわかりやすいので、前もって次の手も考えることができるのです。
結局はすべて人との繋がりだと思います。接客業でなくても何かものづくりでも、よりよいものを作ろうと思えば、こちらの望むことをいかに伝えることができるか、反対にお客様の要望をいかに正しく理解することができるか。そのコミュニケーションによって、出来上がりの満足度が違ってくると思います。
満足度の高いもの、また頼みたくなるような仕事の仕方、また行きたくなるような企画、そのような「売れ続ける仕組み作り」ができる所が、生き残っていくのだと思います。
じゃ、また明日!