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NHK Eテレ の「ハートネットTV」で全盲の中学教師のドキュメントがありました。
国語教師の新井淑則(よしのり)さん。
23歳で中学校教師になりましたが、網膜剥離の手術を6回もして34歳で失明しました。
半年間、暗闇の中で家に引きこもり、生きる目的を失くしてしまいました。
リハビリの点字や歩行訓練を行う中で、重度の弱視である普通科高校で教鞭をとる
宮城道雄先生に「たとえ全盲であっても中学校の教壇に戻れます」と声を掛けられました。
失明から13年後の2008年、念願の中学教師に戻ることが出来ました。
着任と同時に1学年83人の声をICレコーダーに録音して、声で名前を覚えました。
生徒たちはよしのり先生が迷わないように、教室の入り口などに点字シールを貼ったり、
給食の配膳も、食器を時計の針の向きに例えて知らせるクロックポジションを使って示します。
中学校の先輩教師の落合賢一さんは、
「障害のある教員が存在するだけで意味がある。よしのり先生が来て1週間、2週間で
子どもの態度が違ってくる。子どもは皆よしのり先生の役に立ちたいと思っている。
『ここに階段がありますよ』と言いたい。障害のある先生が働く姿、生き方を見て、
生徒が重要なものを学んでいる」
最後の授業が終わった時、よしのり先生は3年前のエピソードを語り始めました。
「入学前の春休み、クラスのA君がお母さんと一緒に中学校に来たんだ。
手が不自由だから、いじめや差別を受けるのが心配だって。私は、A君が障害ゆえに
差別やいじめを受けたら、私の存在価値が全くないから『私は教職をかけてもA君を守る』
と。でも、その心配はムダだった。お前たちは差別どころか自然に受け入れた。
おまえたちは凄いなと感心しました。なんてハートのいいやつなんだろうと。
お前たちと一緒に卒業したいと思ったのは、1年生のあの時からです」
よしのり先生は自分を奮い立たせた宮沢賢治の「雨にも負けず」を
いつも生徒たちに朗読させていました。
 「雨にも負けず」        宮沢賢治 
雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ 
丈夫なからだを持ち
欲は無く 
決して瞋からず 
何時も静かに笑っている 
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ 
あらゆる事を自分を勘定に入れずに
良く見聞きし判り
そして忘れず
野原の松の林の影の 
小さな萱葺きの小屋に居て
東に病気の子供あれば  行って看病してやり 
西に疲れた母あれば  行ってその稲の束を背負い
南に死にそうな人あれば  行って怖がらなくても良いと言い 
北に喧嘩や訴訟があれば  つまらないからやめろと言い 
日照りのときは涙を流し 
寒さの夏はオロオロ歩き
皆にデクノボーと呼ばれ
誉められもせず苦にもされず 
そういう者に 
私はなりたい
じゃ、また明日! 


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