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5月13日付日経新聞朝刊に「学びや発 新年度の準備」という記事がありました。
学校の新年度は慌ただしい日々の連続です。特に小学校ともなれば尚更準備が必要です。
各先生方がロッカーの名札や掃除、給食の当番表などを完成させ、子供達が困らないようにしています。
筆者であるその先生は「一見素晴らしい。でも、ここまでやる必要があるのだろうか」と、年度初めにはあえて何も準備をしません。
当然、今年度担任を受け持った5年生の子供達は、困惑していました。
「先生、誰が給食当番ですか?」
聞いてきたA男に「どうしょうか、困ったね」と一言。
そして「今からリフォームプロジェクトをします。1時間で、この教室を皆が使いやすいように変えてください。必要なものがあれば言ってね」と宣言しました。
すると子供達は、やりたいことをどんどん見つけ、チームを作って進めていきます。掲示物を工夫して貼る、ロッカーに名前シールを貼る、給食当番表を作る、折り紙で教室を飾る。
そして1時間後、ホワイトボードとマグネットシートを使い、斬新で使いやすい給食当番表を完成させました。
先生は不安も伴いながら、2年前からこの実践を始めています。
そして「1時間でここまで出来るのか」「子供が持つ力は本当にすごい!」と驚きました。
私はこの記事を読んで、子供達の能力の凄さに驚いたと同時に、子供達を信じ切っている先生にも敬服しました。
先生は前日まで、何も準備をしていないように見えます。
しかし、本当は他の先生方よりも2倍も3倍も心の準備をしているのです。
翌日からの授業に備え、他の先生方が完璧なまでに準備している事をシュミレーションし、子供達が気が付かなかった場合どうするのかを考え、その時の為の準備をしていたと思います。
その準備とは、先生が直接やってしまうのではなく、子供達にヒントを与え、子供達で完成させる為の心の準備です。
それこそ、あらゆる場面での準備が必要になってきます。
これは直接先生自身が準備するより、かなり時間と思考が必要になってきます。
始業式の当日、このクラスの子供達は「自分達の教室を自分達で作り」自主性を経験しただけでなく「こんなの初めて!」と、自分達で完成する達成感や楽しさを、たった1時間で感じる事が出来たのです。
「先生が子供達を信じる力」は「子供達の能力を可能な限り引き出した」のだと思います。
先生の器の大きさにあっぱれ!です。
これは企業のみならず人間関係にも繋がる事だと思います。
こういう器の人間に一歩でも近づきたいと思った次第です。
じゃ、また!